日差しも和らいだ最近、少し早めの芸術の秋月間に個人的に突入しました。事情はさておき自由な時間が残りわずかになってきたからです。
前にも書いたように基本的に出不精なので、無理やりチケットを購入してもったいないから観に行くと言う訳でして。
そして阪急電車に乗って一路京都へ。
京都文化博物館へ…
前は何を観に来たのかなぁ?ちょっと記憶に残っていないのでアレなんですが、図録を探してみれば分かるのでしょうが面倒なので気になるけど我慢。
帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション
最近は日本の伝統系ばかり観ていて、チラシなんかもいい感じだったので楽しみにして行きました。今、図録を読んでいるんですが1年かけて日本中を巡回してたんですね、最近は気になれば購入する「芸術新潮」、毎月購入している「目の眼」、本屋で見かけても手に取らない「美術手帳」w …情報が極端になっちゃっているので、気付かずに見逃した展覧会とかがありますね。そういうのは悔しいから図録を取り寄せるなんて事もしますが。
さて話を展覧会へ戻して。枯淡な画をDNAレベルで美しいと思える日本に生まれてよかったと、またこれだけの秀作が個人レベルで海外に流出していたのかと嘆き。
『托鉢僧行列図』中原南天棒(帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展図録より引用)
可愛いですね。こういう力の抜けた画が好きです。一歩間違えたら落書きレベルですが、コレクションしたギッターさん、わかってますね。やっぱり筆ネイティブは巧いな。受験生の頃クロッキーを墨と墨汁でやっていましたが比べ物になりません。また解説に連続写真のようなという言葉があり、先取りした未来派だなって微笑んでみたり、やっぱり表情がいいですね、こんな表情の人に囲まれて暮らさないと描けないです。
『鶴図』伊藤若冲(帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展図録より引用)
個人的に大発見じゃないかと一人でちょっと興奮した画。それは何かというとこの画の鶴の胴体の描く方向が右下から円を描き左下へと筆が進んでいるのを観て若冲は左利きだったんじゃないかと。…よく考えたらそれはイーゼルを立てて描いたら、の話ですね。こういう画は床に置いて描いてるんだと。反時計回りに90度回転させたら右利きでも描けるよなと苦笑い。面白い絵を観るとどこから描き始めたのかとか、この視線の先に何が見えるのかとか色々と考えてしまいます。
『松に虎図』源琦(帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展図録より引用)
何だか妙にリアルな質感を持った虎なんですよね、実際の虎を眼の前に写生したような。水墨画で描かれた傑作の虎は何枚もありますが眼光は鋭いんだけど、ちょっと猫っぽかったりしていてこういうのは観た事がなかったですね。ただ残念なのは画面の中に二つの表現が入っているんですよね。上部の典型的な描法と虎が合っていないんですね、虎の表現が面白いだけにそれが残念。
満足してテクテクバス通りまで歩いていくともう1時前、ココイチでカレー食べた後バスに乗って京都市立美術館へ。
フェルメールからのラブレター展
図録をぱらぱら…おっ宮城県美術館でも開催されるのか。美術館は被災してなかったんだな。でも膨大な保険料払うなら、それを被災地にばら撒いて違う所での展示でもいいのにと思ってしまいますね。一日でも早く被災された方々がこういう展覧会が観られる心の余裕が出来る事を祈ります。
しかしフェルメール日本によく来るようになったなぁw 心がまだ純真だった十代の頃に観たかったよ。子供が高校生くらいになったらシベリア鉄道乗ってエルミタージュ美術館1週間、その後ドイツでビール飲んでwフランスルーブル美術館で2週間、イギリス行って大英博物館で根付を観るwこんな価値観をぐらつかせる旅行したいな。
もうフェルメールは画集で観た事がある状態でしたね(ちょっと贅沢)。一室使って3枚絵が並んで…
『手紙を書く女』ヨハネス・フェルメール(ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵 フェルメールからのラブレター展図録より引用)
今回来ていた作品の中ではこれが一番お気に入りで、柔らかい空気と光を、そしてそれらを一心に受け止める視線が綺麗でした。フェルメールの腕がいいのは分かってるけど、モデルなのかなぁ。何とも言えないいい瞳、言葉を語りかける眼なんですよね。そういやモデルさんを使って受験時代から予備校の先生をしていた時まで何百枚も絵を描きましたが、白人の女性はなかったなぁ。ファッション雑誌でも久しぶりに買って写真模写でもしようかな。絵を描きたくなる一枚でした。
この京都市立美術館は二階建てなのに一階だけを利用した、小品が多いこじんまりとした展覧会で一時間ほどで観終わりましたが、もう一枚心に引っかかった作品。
『窓辺で本を読む女』ハブリエル・メツー(個人蔵 フェルメールからのラブレター展図録より引用)
個人的な好みですが顔は森泉みたいな馬面…うりざね顔系で気が強そうな顔が好きなんですよね、絵になるかどうかはさておき。この絵のモデルさんはヒットなんだけど、ちょっと鼻の下が長いのが残念。
下らない話はさておき、本を読むという題名が付いているわりには視線が紙面へ向いておらず、窓の向こうへと視線が流れています。残念な事にこの描かれた紙面、文字らしきものしか描かれていません。ちゃんと描かれていたらこの視線ももっと意味が出てきただろうに(フェルメールはマニアックな研究者がいて描かれた地図や版画、本等が実際に発見されています。こういうところがまた一線を引く所なんでしょうね)。
さて上記にも書いたように京都市立美術館二階は現在空室です。来週半ばから「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」が開催されます。週末は決して出かけたくない美術館ですw
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