2011年9月30日金曜日

9月の雨の日…岸田劉生展

 早いものでもう9月も終わりを告げようとしていますね。9月の雨は季節の変わり目を告げるみたいで、柄にも無くちょっぴりセンチな気分になります。
 今年は特にこれといった夏の思い出があるわけでもなく、たんたんと日々が過ぎ去っていくのをぼけ~っと眺めていただけなのですが。


 …根付はこれといって劇的に変化した所もないし、あんまりいじれる時間が無かったのでブログに載せるのはちょっと遠慮しときますw


 さて、9月の暑くも無く寒くもない雨に打たれながら(傘はさしますよ)天王寺公園、大阪市立美術館へ地下鉄を乗ってやってきました。
 思い返せばカラオケが聞こえる史上最低な美術館として存在してたのですが(やっぱり不法占拠はいかんでしょ、アレも大阪やでと言う人もいるでしょうが…)気がつけばフェルメールの小径なんて可愛らしい名前の付いた道を通りながら(あの時はフェルメールの何が来てたんだったっけ?青いターバンの少女とかだったかな?僕が友達と観に行った時は大行列ではなかったですが、フェルメールだけを観て30分ぐらいで友達と待ち合わせ場所に合流したっけ)こんな所まで行列が出来ていたんだなと思いつつ美術館へ。
 テレビのCMで麗子さんが「私に逢いに来てください」と仰っていたので来ました。

 図録を観返しながら文字を打ち込んでいるのですが、結論からいうと自らのアイデンティティーをくすぐられるいい展覧会だったのですが、大阪でしか展示しないみたいで、生誕120年をうたっている割にはちょっともったいないですね(気がついたら岸田劉生も年下の年齢になっちゃいましたね。今年は厄年、乗り越えられるか、俺w)。

 『麗子像』重要文化財 東京国立博物館蔵
 岸田劉生といえばまず最初に思い浮かぶのがこの麗子像ですよね。前に書いた高村光雲の『老猿』と一緒に東京国立近代美術館で観たのが学生の頃だから16~7年前ですね(光雲の老猿は「高村光雲とその時代展」で2002年に三重県立美術館で後姿も観たなぁ)。
 この絵を高校生の頃模写をしまして、ちょっぴり甘酸っぱい想い出が心を揺さぶりますw
 昔は気付かなかったけど、いい絵ですね、日本人の油絵って感じがして。この絵は日本人じゃないと描けない。
 技術的には江戸末期から輸入されてきた技法のその当時の頂点を極めているんじゃないかと。この絵が描かれた前年に同じく重要文化財となっている中村彝のエロシェンコ像が描かれていますがこれと対極にある絵で、またどちらの作者も洋行を果たす事無く独自の画風を切り開いています。
 しかし個人的な感想ですがどちらも画面に奥行きがないんですよね。画面の中に手を突っ込めるとしたらどちらもモデルの後頭部がない、頭部のごろりとした立体感ではなく、レリーフ状のようなすぐに壁に手が触れちゃうような。空間を把握もしくは表現しきれていない日本画的なごまかしで、またそれに反応して「じめっ」ってした湿度を感じるんですよね。
 『川幡正光氏之肖像』 東京国立近代美術館蔵
 図録によるとこの絵は…
 アルブレヒト・デューラー 『ミヒャエル・ヴォルゲムートの肖像』 ゲルマン民族博物館蔵
を意識、下敷きに描かれた絵だそうで。言われて観るとたしかにねぇ…この時代の画家達の悲劇は、技術的なものは黒田清輝らが持ち帰った技法しか学べなかった、印象派以降の技術しか輸入できなかったんですよね(原田直次郎の靴屋の親爺とかぎりぎりかな?)。油絵技法の基本、テンペラ画の技術を持った外国人が日本に来なかったのと金持ちが近代絵画しか買わなかった事がある意味日本独自の油絵…西洋画という発展の仕方になってしまった事が現代に続く悲劇だと思われます。
 また油絵やテンペラ画にはグリザイユという透明色を不透明色の上に載せて描く技法があるのですが、この技法で描くとスカッとした空間が表現されるんですよね。これを当時の印刷技術で刷られた本の絵画から知りうる事は限りなく不可能に近いでしょうが。
 だから明治から大正にかけての油絵は晴れ渡った青空を描いても日本の風土に調和したじめっとした印象の物になっています。
 以上の事を踏まえてもう一度麗子像を観るとこのスカッとした空気を表現しようと悪戦苦闘してる痕跡が8号という小さなキャンバスの中随所に見られます。展覧会では未完の麗子像が2枚ありましたが、下地を施す事無くいきなり物の色を塗り始めていて、出来るだけ彩度の高い色を使用して空気と物の存在を表現しようとしている工夫が見られます。
 晩年は富岡鉄斎みたいになってしまいましたが、しかしヨーロッパへの渡航を計画していたようですが急死してしまい、歴史に『If』はないのですがそうしていたら日本の油絵も変わっていただろうなと思います。

 個人的には寒山風な麗子さんよりこっちの女の子の方が昔から素朴で好きです。
 『村娘之図』 下関市立美術館蔵
 油絵あったと思うけど出品されてなかったなぁ。

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2011年9月25日日曜日

延長線上の趣味

 9月も半ばを過ぎ個人的にお尻に火が点いた状態ですが、なんのその、どうにかなるでしょと言うことで。



 8月は散財月間だったなぁ。基本、先の事を考えずに衝動だけで動いたりしてしまう人間なので、お金を持つと計画性も無く散財し、月末にひ~っと悲鳴を上げる始末でして。
 ヤフーオークションで根付などを欲しいなぁと見てると(孫会長個人的に嫌いなんでプレミアム会員にはなっていない)、そういやアレってあったけど出品されてるのかな?など色々と思い出して検索かけて最初の目的から外れて探してしまうんですよね。

 楽器というのはプロダクツデザインの中ではかなり工芸的な要素が入っているもので、同じような形をしていても造られた年代、使用された素材などで音色が変わる不思議な工業製品です。
 まぁギターが好きなんですよね。…あんまり弾けないけど。楽器屋に行くとわくわくしてきちゃって、いいなぁと思うと買うかどうしようか大人気なく心の中で葛藤しちゃうんですよね。
 あとやっぱり木の素材が好きなんですよね、やっぱり。クリアー塗装されているものなんか見てると弾くという目的よりも、観賞してしまうといいますか。

 それで今年の初夏天王寺に絵を観に行った時、そういや近所にボロい楽器屋あったよなーと、思い出してちょっと寄り道。
 おお、渋いのあるやんと店内をうろうろ。ピンピーンとちょっと爪弾いたり、木目観察したりw
 時間ももったいないので後ろ髪引かれながら展覧会へ。
 さて、展覧会も観終わったし帰りますかと駅は向かうはずの足が楽器店へ…衝動買いでした。
 レリック加工されたテレキャスターです。ネックには『LEGEND』…何が伝説だwどこのブランドか知らないけど使い古した感じが気に入ったので購入しました(後日調べてみるとアリアの廉価版ブランドでした)。生音なんかはいい感じで鳴るんですが、さすがは安物wボリュームコントロールががたがた動き腹が立ったので、ピックアップとボリューム、トーンのテレキャスターセットがアマゾンで販売されていたので早速交換しました。結果的に中古のフェンダーテレキャスター買える値段になっちゃいましたがw
 ボディは気にいるようになりましたが、ネックが新品でちょっと雰囲気壊してますんで、近いうちに塗装を剥いでネックもレリック加工しようかと思います。

 んで、子供が生まれてからほとんど弾く事が無かったんですよね、ギター。ずっとアトリエに放置したままで埃がこびりついて綺麗になりませんでした…
 バーニーの"Rok'n Roll VERSION"というモデルですが(もう廃盤になってるみたいだな)どうみてもレスポールジュニアのコピーですw
 購入したのはかれこれ22年ほど前ですかね。当時大ヒットを飛ばしていたガンズアンドローゼスにあこがれてwギブソンレスポール欲しかったんだけど、お金の無い受験生。夏期講習の夜間の授業代をちょろまかしてw手の届く範囲で買った中古品です。
 時間が経ったからなのか、ちょっとこもりがちな音ですが個人的にはいい音出るようになってきましたね(とか言いながらギターアンプは持っておらず、PCに繋いで弾いています…)。

 そして大人気なく大好きなのがラウドネスw
 高校生の頃からメタル大好きでwww実は浪人してから子供が小学校入る前まで長髪でして(たまに切ってたけど)。本人はメタル気取りでしたが、傍から見たら鉄砲担いだらそのままマタギになるような風貌でしてw ええ、今でも伸ばしたろうかと思うのですが、今度そうしたら完全に世捨て人になりそうなので我慢です、というか体格がw
 さて閑話休題。ヤフーオークションで競り勝ったのがこれ
 ランダムスター・高崎晃モデルですね。
 …まあ本当にボディだけでして、ネックは中古で買うと後で高くつきそうなので、ぼちぼち純正品を集めて、塗装を剥して、打痕を直し再塗装して造ろうかなと。本物は35万ちかくするからなぁ。…自分で造る方が安く上がりますようにw

 お次は
 違和感かんじませんか?
 これはストラトキャスターの左利き用ボディです。右利きなのに何故?…これで分かった人は60~70年代のロック好きの方ですね。逆ジミー・ヘンドリクスです。…要するにジミヘンは左利きなのに右利き用のギターを使って演奏していたんですね。だからそれの逆っていう訳です。
 ただ一つ大きな問題がありまして、このストラトキャスターの左利き用のネックってどれだけ探しても見つからないんですよね、特にラージヘッド。
 素直に左利きのギター買えばいいのですが、これまた僕が欲しいモデルは高い。
 無ければ造る、これに限りますね。早速ネックのメープル材を注文、またペグはアメリカから輸入w どうでもいい行動力は無駄にありますね。ただアトリエは競馬場の横にあるのですが住宅地に囲まれていますので工具を使った作業をする時間が限られています。のんびり木が反らない間に造ればいいかなと思っていたり。(追記9月26日 本日ebayにて左利きラージヘッドネックを発見、即購入…しかしローズウッドを使用している可能性があるので1万円がパーになる可能性あり…がんばれebay!密輸入だw)

 最初の方でも書きましたがメタルです。正統派メタルwですよ。
 モッキンバードというタイプのギターです…これを見てピンときた人、Xjapan好きですねw
 個人的に変形ギターでは12を争う程好きな形なんですが、XjapanのHideさんがメインギターにされていたものでして(個人的に彼が逝去した後、ソロの曲を聴いて結構POPで歌詞がよくって好きになりましたがw)本家BCリッチのネックと後はフェルナンデスのボディとネックたちです。これもこのままじゃかっこ悪いので工作したり、気が向いたらHideモデルでも造ってみようかと。…さすがにハートマークやサイケ柄はパスですが、子供が興味持つかな?それとも子供にギター仕込んで最初はXjapanのツインギター、メタリカ、ハロウィンと二人で演奏できると楽しいだろうな。早く大きくなってバンドやろうぜw

 これは上記のモッキンバードに抱き合わせで買ったボディ。
 さすがにこの歳になってピンクのギターは嫌ですw。ストラトキャスタータイプなんで、クリーム色に塗装、ネックをスキャロップド加工して、弾けないけどイングウェイモデルにでもしようかなと。
 これ等も塗装剥がして色々と楽しんでみたいなぁと思っています。

 センチな気分のときはこいつで禁じられた遊びwやランディ・ローズのDeeを弾いて遊んでいます。クラッシックギターはもっと上手くなりたいな。いつかはアルハンブラの想い出弾けるようになりたいです。




 …アトリエでの気分転換の友
 ZO-3のパンダバージョンです。もっと綺麗だったらレプリカついたかな?リペアできるか問い合わせてみようかな?大きな音が鳴るので息子がお気に入りです。

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2011年9月17日土曜日

ワシントン・ナショナル・ギャラリー展/住友コレクションの中国絵画/高村光雲と石川光明

 何だかすっかり美術鑑賞ブログになってしまった感がありますが…
 ぼちぼち彫っていますよ、ぼちぼち…

 さて日付は変わってしまいましたが9月16日金曜日、またまた京都へ出没。 ウロウロする覚悟でバス乗り放題カードを購入です。

 珍しく8時過ぎには家を出て京都市美術館へ、ワシントン・ナショナル・ギャラリー展をまず観に行きました。 何故かと言うと天気が悪くなりそうで一番並ばないといけなさそうだったからです。
 結果的には平日のどんよりとした曇り空だったのですんなりと展示室へ進めました。
 目玉作品はゴッホの自画像でしたが、個人的には佐伯祐三が好きなのにゴッホは苦手で、それを目的に観に行った訳ではありませんでしたが。
 受験生の頃ゴッホの手紙を読んで、それ以来暑苦しいというか、何だか理解してくれよオーラを感じるようになってしまいw今でも苦手です。まぁ文学的な見方をすればそうなのですが、美術的には優れているのは認めざるをえません。
 今回は久しぶりにこの絵『日傘の女性、モネ夫人と息子』が来ていました(前にモネ展で来ていたはず…同様の作品がありますがそれには子供は描かれていなかあったような)。
 『日傘の女性、モネ夫人と息子』クロード・モネ(印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション ワシントン・ナショナルギャラリー展図録より引用)
 大好きなんですよね、この絵。
 画面から爽やかな風を感じますね。またほのぼのとした幸福感を与えてくれますね。…しかしこの絵を描いた1875年から4年後の79年にモデルとなった奥さんが32歳の若さで亡くなられています。幸福の絶頂から叩き落されるのは共感できますね…しかしそこからまた這い上がって行ったのを見習わなくてはいけません(個人的なことですね)。
 いや~渋いですね、太鼓橋でポーズを取るモネ。
 『太鼓橋』クロード・モネ(印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション ワシントン・ナショナルギャラリー展図録より引用)
 まだ蔦が絡み付いていないですから上記の写真を撮る前に描かれた作品ですね。
 僕も根付で大当たりwするか、宝くじ当てたらモネの庭みたいな邸宅を構えてみたいものです。…睡蓮じゃないけど蓮を漬物樽に植えてるんだけど、今年は失敗しましたです。
 さて、今回はベタな印象派展を観に来たわけですが、ほぼ門外不出のデッサン類を観にきたんですよね。そうされる理由も分かるわけで、紙質の良好な作品群、発色のいいセザンヌや、ドガ、水墨画風のマネ等良品が揃っていました。
 何だかんだと言いながら印象派好きですw



 続いてバスに乗り込み住友コレクション泉屋博古館京都鹿ヶ谷へ住友コレクションの中国絵画展へ。

 『猫図・安晩帖より』蜂大山人(泉屋博古館絵葉書より引用)
 …葉書の表面見るまでずっとぐでっとした『犬』、しかも中国だから『チャウチャウ犬』だと思い込んでいました…猫に見えないですよね?ねっ?
 たしかに背中の墨の部分の盛り上がりみるとそれっぽく…見えねぇよw
 チラシの表面を飾るのに会期途中で展示変え(この『猫図・安晩帖』は展示期間 10月1日~10月14日ってHPではなってるけど、これが観たかったんで満足)。しかし実物は小さかったなぁ。もっと大きく掛軸になっていると思っていましたので、探すのに思わず会場を2~3周してしまいました。
 『雪中遊兎図』沈銓(泉屋博古館絵葉書より引用)
 う~ん濃いな。余白の部分が無くひたすら描き込んで密度が高すぎます。日本の描写を見慣れているせいか何枚も観てると疲れてきますね。
 若冲なんかもぎちぎちに描き込んだものも多いですが、何だろう地と図の関係かな?若冲はすっきり画の世界へ入り込んでいけるんだけどな。あと何だろう、明暗のコントラストが強すぎるのかな?立体感が妙に強調されすぎていて、日本の朦朧体の表現と違う空間がありますね。
 昔の人は中国に学びに行ったり、輸入された画をよく解釈し自分の表現へと繋げたものですね。


 『蛙蛇文盤』(泉屋博古館絵葉書より引用)
 いや中国のカエルかぁと思って買ったポストカードですw
 何ガエルだろうなw

 バスに乗って一旦四条河原町まで戻り、マクドナルドで遅い昼食。

 再びバスに乗って今度は清水寺方面へ…
 清水坂を修学旅行の小学生と共にテクテク上り、八つ橋をつまみ食いしながら今度は三年坂をすたこら下りる。
 右手に清水三年坂美術館ですね。帝室技芸員 series3 彫刻~高村光雲と石川光明~展です。
 実は初めてだったんですよね、ココに来るのw


 話はちょっと前後しますが下記が16日に購入した本です。
 …ん?
 …灯台下暗しといいますか…楽虫さんの所で話題になった本がちょこんと置かれて販売されていました。最後の一冊でしたw いや~読みたいなぁと思ってネットで探しまくり、岡山へ展覧会観に行った時もこの本をきょろきょろと探し、半ばあきらめていたんですよね、どこかで古本が出てくるまで待つしかないかなと。まさかこんな所で新刊があろうとは、恐るべし清水三年坂美術館、伊達に常設展示で正阿弥勝義展示してないぜw 眼福にあずかりながらいざ企画展の2階へ…

 高村光雲は学生時代現代美術に行き詰って東京国立近代美術館へ行き何かきっかけを掴もうと暗中模索してた時に『老猿』(今は東京国立博物館所蔵か…僕が東京にいた頃は息子光太郎の『鯰』と一緒に常設展示されてたんだけどな)を観て活路を見出したと言っても過言でない作品でした。置物彫刻を現代美術になんて小難しい事考えていたんですがw
 展示自体は前に企画展があった『超絶技巧の明治の牙彫・木彫』展の高村光雲と石川光明をピックアップした感じの内容でしたが、光雲はもうちょっとそろえて欲しかったのですが、光明の作品が見ごたえあるのがありましたね。そして今回期待していたのがこれ。
 『木彫兎』石川光明(超絶技巧の明治の牙彫・木彫展図録より引用)
 
 何故かというと図録に…
 『木彫兎』石川光明(超絶技巧の明治の牙彫・木彫展図録より引用)
 こういうの載っていたら「これで根付造ってみな」って言われているように思いますよね。







 造っていますw
 実は今回の展示で光明はこの木彫を元にしたであろう象牙の根付を造っていました。小さくなったせいか、このような彫りはなく、ちょっと細かい部分が形が弱くなっていましたがそれでもいい根付でした。
 今回上に圧し掛かっている兎の左前足がどうなっているのかずっと疑問になっていたのでそれが解消されたのはよかったです。
 展覧会の図録は今月末に出来るそうで、できれば写真の使いまわしでなく、新規に撮り直したものが使われているといいですね。
 時間があればまた観に行きたい展示でした。

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2011年9月7日水曜日

帰ってきた江戸絵画/フェルメールからのラブレター展

 日差しも和らいだ最近、少し早めの芸術の秋月間に個人的に突入しました。事情はさておき自由な時間が残りわずかになってきたからです。
 前にも書いたように基本的に出不精なので、無理やりチケットを購入してもったいないから観に行くと言う訳でして。
 そして阪急電車に乗って一路京都へ。

 京都文化博物館へ…
 前は何を観に来たのかなぁ?ちょっと記憶に残っていないのでアレなんですが、図録を探してみれば分かるのでしょうが面倒なので気になるけど我慢。

 帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション
 最近は日本の伝統系ばかり観ていて、チラシなんかもいい感じだったので楽しみにして行きました。今、図録を読んでいるんですが1年かけて日本中を巡回してたんですね、最近は気になれば購入する「芸術新潮」、毎月購入している「目の眼」、本屋で見かけても手に取らない「美術手帳」w …情報が極端になっちゃっているので、気付かずに見逃した展覧会とかがありますね。そういうのは悔しいから図録を取り寄せるなんて事もしますが。
 さて話を展覧会へ戻して。枯淡な画をDNAレベルで美しいと思える日本に生まれてよかったと、またこれだけの秀作が個人レベルで海外に流出していたのかと嘆き。
 『托鉢僧行列図』中原南天棒(帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展図録より引用)
 可愛いですね。こういう力の抜けた画が好きです。一歩間違えたら落書きレベルですが、コレクションしたギッターさん、わかってますね。やっぱり筆ネイティブは巧いな。受験生の頃クロッキーを墨と墨汁でやっていましたが比べ物になりません。また解説に連続写真のようなという言葉があり、先取りした未来派だなって微笑んでみたり、やっぱり表情がいいですね、こんな表情の人に囲まれて暮らさないと描けないです。

 『鶴図』伊藤若冲(帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展図録より引用)
 個人的に大発見じゃないかと一人でちょっと興奮した画。それは何かというとこの画の鶴の胴体の描く方向が右下から円を描き左下へと筆が進んでいるのを観て若冲は左利きだったんじゃないかと。…よく考えたらそれはイーゼルを立てて描いたら、の話ですね。こういう画は床に置いて描いてるんだと。反時計回りに90度回転させたら右利きでも描けるよなと苦笑い。面白い絵を観るとどこから描き始めたのかとか、この視線の先に何が見えるのかとか色々と考えてしまいます。

 『松に虎図』源琦(帰ってきた江戸絵画 ニューオーリンズ ギッター・コレクション展図録より引用)
 何だか妙にリアルな質感を持った虎なんですよね、実際の虎を眼の前に写生したような。水墨画で描かれた傑作の虎は何枚もありますが眼光は鋭いんだけど、ちょっと猫っぽかったりしていてこういうのは観た事がなかったですね。ただ残念なのは画面の中に二つの表現が入っているんですよね。上部の典型的な描法と虎が合っていないんですね、虎の表現が面白いだけにそれが残念。

 満足してテクテクバス通りまで歩いていくともう1時前、ココイチでカレー食べた後バスに乗って京都市立美術館へ。

 フェルメールからのラブレター展
 図録をぱらぱら…おっ宮城県美術館でも開催されるのか。美術館は被災してなかったんだな。でも膨大な保険料払うなら、それを被災地にばら撒いて違う所での展示でもいいのにと思ってしまいますね。一日でも早く被災された方々がこういう展覧会が観られる心の余裕が出来る事を祈ります。
 しかしフェルメール日本によく来るようになったなぁw 心がまだ純真だった十代の頃に観たかったよ。子供が高校生くらいになったらシベリア鉄道乗ってエルミタージュ美術館1週間、その後ドイツでビール飲んでwフランスルーブル美術館で2週間、イギリス行って大英博物館で根付を観るwこんな価値観をぐらつかせる旅行したいな。
 もうフェルメールは画集で観た事がある状態でしたね(ちょっと贅沢)。一室使って3枚絵が並んで…
 『手紙を書く女』ヨハネス・フェルメール(ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵 フェルメールからのラブレター展図録より引用)
 今回来ていた作品の中ではこれが一番お気に入りで、柔らかい空気と光を、そしてそれらを一心に受け止める視線が綺麗でした。フェルメールの腕がいいのは分かってるけど、モデルなのかなぁ。何とも言えないいい瞳、言葉を語りかける眼なんですよね。そういやモデルさんを使って受験時代から予備校の先生をしていた時まで何百枚も絵を描きましたが、白人の女性はなかったなぁ。ファッション雑誌でも久しぶりに買って写真模写でもしようかな。絵を描きたくなる一枚でした。
 この京都市立美術館は二階建てなのに一階だけを利用した、小品が多いこじんまりとした展覧会で一時間ほどで観終わりましたが、もう一枚心に引っかかった作品。
 『窓辺で本を読む女』ハブリエル・メツー(個人蔵 フェルメールからのラブレター展図録より引用)
 個人的な好みですが顔は森泉みたいな馬面…うりざね顔系で気が強そうな顔が好きなんですよね、絵になるかどうかはさておき。この絵のモデルさんはヒットなんだけど、ちょっと鼻の下が長いのが残念。
 下らない話はさておき、本を読むという題名が付いているわりには視線が紙面へ向いておらず、窓の向こうへと視線が流れています。残念な事にこの描かれた紙面、文字らしきものしか描かれていません。ちゃんと描かれていたらこの視線ももっと意味が出てきただろうに(フェルメールはマニアックな研究者がいて描かれた地図や版画、本等が実際に発見されています。こういうところがまた一線を引く所なんでしょうね)。


 さて上記にも書いたように京都市立美術館二階は現在空室です。来週半ばから「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」が開催されます。週末は決して出かけたくない美術館ですw

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2011年9月6日火曜日

羽衣・その2/Robe・Part.2

 日が暮れるとすっかり秋の気配ですね。

 カエルの餌にコオロギを飼っているので虫の音は夏前から聴いてはいるんですが。

 私生活がちょっと行き詰ってw色々としなくちゃならない事が山積みで。ええ、分かっているんですよ。大きな塊を受け止めようとするから、ダメになっちゃう事も。一つ一つ対峙していけば、時が解決してくれる事も。

 という訳で気分転換に外に出てみました。
 鳩、やる気ねぇなぁw
 家の近所の公園で根付を彫っていたら「あそこの主人、何してんだ?」と不審者扱いされるので、家から離れた人気の無い公園でごそごそ。

 いや~気分が晴れますねぇ。くだらない事考える気分が消え失せます。外で製作をしていると学生時代を思い出して気分が盛り上がってきます(学生時代はグラインダーとサンダーで木の粉を撒き散らす、大顰蹙を買う作品造りだったからなぁ、下級生の人たち鬱陶しかっただろうな、正直すまんかったw)。
 いや~平和ですねぇ。台風が惨禍を残した近畿地方に住んでるとは思えないほど。
 お昼過ぎから日差しが強くなってきたので移動です。昼間はまだ夏の思い出が残っているほど暑いですからねぇ。

 オープンテラスを陣取りこそこそ。彫刻刀沢山持ってきましたけど、一応銃刀法違反になるような長さの刃物は持っていないので通報されてもへっちゃらです。
 ようやく形が見えてきました。思っていたよりも誰も話しかけたりしてこなかったので集中して作業がはかどりました。まあ部屋の中でエアコンつけながらこっそり彫るのもいいですが(これが本当の姿でしょうがw)。
 たまには大空の下でチマチマ1mm単位の作業をするのも心の健康にはいいかもしれませんねw

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