2011年7月29日金曜日

羽衣・その1/Robe・Part.1

 朝早くから蝉に起こされる毎日が続きます。
 暑いからちょっとだけ根付で涼しげな物をと…
 羽衣?を纏った土佐金です。
 ようやく荒彫りがすんだ所です。
 この根付は現代木彫根付芸術祭に出品しようとしていたものから派生して出来つつあるものです(出品しようとしていたものはもう少し意匠をつめてみようかと思い断念です…)。
 軽やかな印象の根付になればいいのですが。
 しかし金魚の世界も奥が深いですね。私は夜店の金魚すくいで取るような普通の小赤をおたまじゃくしと一緒に飼っているのですが、根付を造るために参考に本を買って読んでいると、土佐金は尾びれをふわっと円形にするために軟条を抜いたり、形の良いとされる姿の物だけを残して交配させていったり。もちろんこの根付の土佐金は美しいとされる形を意識していますが。他の種類の物は鱗をはいで銀色にしたり模様を作り出したり、壷に飼って目玉を上に向けさせたり…涼しげな金魚たちはある意味現代の妖怪かもしれませんね。


 ちょっと国際化wを狙って英語でも題名を。インターネットの翻訳サイトで「羽衣」を翻訳すると"Robe of feathers"…う~ん、feathers/羽毛、なんか違うよな。羽毛のように軽やかな衣なんだけど、羽毛の衣じゃないからなぁ。グーグルで検索したら出てくるけど、意味合いの微妙な違いがありますよね?ねっ?
 このブログを外国からも結構観に来て下さってるんですよね。外国からの検索で引っかかりやすいようにJAPAN-NETSUKEなんて気楽に付けちゃいましたが。
 こう見えても中学高校大学…2浪して、大学でも3年学んだかw合計11年間英語学んだ事になるけど、私が酷過ぎるのか役立っていませんね。間違っていたらこそっと教えて下さい。

ご意見、ご批評よろしくお願い致します

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2011年7月25日月曜日

根付袋

 味気ないウコン染めの布に包んで保存するより、楽虫さんのブログを見ていていいなぁと思って、私も特注で造ってもらいました。
こんな感じです。
 前に造った金魚が可愛らしく顔を覗かせます。
 やっぱりこういうちょっとした事でも、造ってる方としても気分が盛り上がってきますね。袋の意匠と根付のそれが合致した時の楽しみは製作者冥利につきます。…あとは桐箱ですねぇ、それまでこだわっちゃうと赤字ですw
 これは例のコンペに出そうと思って造っていたものを入れる根付袋です。
 ちょっとだけ顔見せ。これはこのまま造りますが、これを元にした洗練された?意匠のイメージがわいてきたのでこれは非公開w
 ちゃんと裏地もこだわって造ってもらっています。またこの袋は見ての通り上記の物とはデザインが違います、贅沢だな、俺。
 あともう一つこれは最初に掲載しているものの図柄違い。

 最初は何気なく楽天市場で和柄のこういう袋取り扱ってるお店を探していたんですが、取り扱われている商品に眼が止まったお店、「こだわりの手しごと三春」さんで、偶然にも家から車で30分もかからない所で営業されていて、私の拙い説明で長い時間をかけて打ち合わせさせて頂いた結果このような素敵な根付袋が出来上がりました。私の造るものが袋に負けないよう日々精進です。

 でも何と言うかこだわり始めたらきりがないですね。
 この本は大学生の頃購入したものですが根付、袋の意匠に合うような結び方をしてみたくなりますw

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2011年7月15日金曜日

工具とあれこれ

 大学生の頃に買ったから、もう15年以上使ってるんですかね、しかし最近動かなくなってしまいました。
 使う時は結構使いますが、そうでない時はそれなりに。まぁメンテナンスなんてせいぜいコンプレッサーで中の埃をとるぐらいしかしないから寿命がきちゃったんでしょうね。
 個人的にはマキタがお手ごろで(昔好きだった女の子の名前だからというわけで選んでない)、RYOBIはなんかデザインが安っぽい感じ、日立はちょっと職人向けでゴツく…まぁ個人的な感想ですが。そんなわけで一台買おうとネットをウロウロ。ポール・ギルバートも使っているw充電式を買おうと思ったけど、個人的に充電式は使いにくいのでパス。まあ上記の機種は無段変速が付いていたので今回もそれが付いてる物を…あとパネルを作る予定なのでガンタッカーのステープルも併せて購入しようとアマゾンを探したのですが…スチールのステープルは売ってるんだけど、ステンレスのそれはさすがに売っていませんでしたので検索して併せて購入できるサイトで…
 ステンレスのステープル高いなぁ、大学生の頃は学校が購入してくれていたんで何も考えずバスバス打ち込んでいたけど、大事に打ち込まないとw
 で、新たに購入した
 ドリルさんです。
 初仕事は…
 カエルの水槽の空気穴開けですw

 普段家の玄関の水槽に入れっぱなしなので日光浴です。
 やっぱりカエルは緑色じゃないと。

 しかし今日も暑かったですね。
 チェコスロバキアから来たモフモフしたお方は御影石で涼を取っています。ひんやりして気持ちいいんだろうな。まねをしてフローリングにじかに寝ると目覚めたら体中がエラい事になってしまいます。

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2011年7月13日水曜日

幕末・明治の超絶技巧 世界を驚嘆させた金属工芸



 いや~参った、脱帽です、眼から鱗が溢れ出しました。

 家に帰って今まで造ってきたの叩き壊したくなりました。

 ええ分かってるんです、ハードルをまた上げた事を。
























 …本当は「桃太郎ランド」探すぞとか、今日のブログに書くこと決めていたりして観光気分で観にいったんですよね。時間余ったら後楽園で一服としゃれ込もうかとか。

 岡山駅前でこんな写真撮ったり。
 後楽園の前でご当地郵便ポスト撮ったり。

 時間の無駄、無駄!

 岡山は物価が安いですね。バスが博物館まで片道140円、タクシー450円、入館料450円。町には路面電車…大学3回生くらいの夏休みに岡山市立美術館に現代美術の展示を観に行ったんですけど、あんまりの内容だったのでどうやって移動したのかも思い出せない。
 今回の展示は正阿弥勝義等の細かい細工の展示のため受付で特大ルーペの無料貸し出し。
 装飾過多ぎりぎりの所で造り上げていますねぇ。ルーペ持ってうろうろ。
 じれったくなってきて、いても経っていもいれず速攻で自宅へ帰りましたよ。

 改めて現代木彫根付芸術祭用に造っていたものをしみじみと…まぁ僕はプロじゃないので(目指していますが)今は修行期間だな。自分の限界超える物を確実に一つずつ造り上げないと。
 だもんで、今回も華麗にそれをスルー。名前売る機会なんかいくらでもある。中途半端な物だけは人目に触れさせたくない。それだけです。

 しかし企画された方々、図録の増刷考えてなかったんですかねぇ、ググってみてもどの会場も期間前半で売り切れ。まぁほとんど「緑青」に載っているやつだからまぁいいか。
 今回正阿弥勝義地元と言う事で岡山会場独自展示として「正阿弥勝義ベストコレクション」なる作品群が展示されていました。これは清水三年阪美術館コレクション外の地元にある作品群、これも見応えありましたねぇ。「糸瓜釣花瓶」個人所蔵と「蓮葉と蛙皿」。今家でナゴヤダルマガエル飼育してるのでかえる関係は眼が離せませんでしたw


 お約束のグッズです。正阿弥勝義の亀玉手箱置物香合…微妙に違うぞw
 図録もあんまりハートくすぐる物なく絵葉書とストラップ買ってそそくさと帰宅しました。


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2011年7月11日月曜日

青木繁展

 梅雨明けのうだるような暑さの7月9日土曜日、祇園祭の準備が進む中、京都国立近代美術館へ行ってきました。

 青木繁展です。
 絵を描き始めた頃から好きだったんですよね。古臭いと言えばそれまでなんですが、なんだか一度眼にすると忘れられない魅力があるというか、黒田清輝等の洋行した画家が持ち帰ってきた情報しか無い中(今は情報過多ですよね、いい意味でも悪い意味でも)必死に西洋に追いつこうとしている力強さ、日本人としての洋画を表現しようとしている泥臭さが画面を通じて伝わってきます。

 力が入っているのかw3Dにする意味がもうひとつよく分からない「海の幸」w
 今回のようにまとまってみる機会はそうは無いでしょうね。特に重要文化財が二つまとめて見られる機会は地方に住む(石橋美術館にはなかなか行く機会ないしなぁ、旅行のついでになってしまうでしょうね)人間にはなおの事です。
 今回数年ぶりに「海の幸」を観ましたが改めてよく観ると、これ以上手が入らないぎりぎりの所で筆を止めていますね。もう一筆、それをすると画面がガラッと変わってしまいそうなセンス、すごいですよね。だから国の重要文化財になるのもうなずけます、が、完成したのも見てみたいようなきもしますね。完成するとこれまた重要文化財ですが「わだつみのいろこの宮」みたいなあんまりぱっとしない(個人的意見ですよ)単調な物になってしまうのかなぁと思ったり。
 まぁ「海の幸」は下書き線も見える未完成っぽい作品ですが、その他のそれらしい作品を観ていて気が付いた事は、結構ラフに部分だけを描き込んでいる作品が、途中っぽく見えるように描き込まれていたと言う事。これはちょっとした驚きでしたね。これがこの人のこだわりなんだろうなと、順路を戻って「海の幸」を見直すと完成したものに観えて来ます。
 また今回の展覧会で面白かったのは素描ですね。きっちり描いている石膏素描は明治期らしい堅苦しいものでしたが、ちょっとしたクロッキーみたいなものは画力を見せ付ける上手く、またユーモラスなものでもありました。
 そして圧巻だったのがお寺の戸板にかいた海景ですね。前から存在は知っていましたが画集などにも載っていなく、実物を初めて観ました。焼いた釘で板に波を大きく取り入れた風景。釘を寝かしたり立てたりと線の表情が戸惑いも無く完璧で。上手い人は素材が何であろうと完璧に表現できるんだなと。
 晩年近く(と言っても二十代後半…)の完成した作品は売り絵っぽくって観ていて切なくなりましたね。もっと好き勝手に描けたらどうなっていたんだろうかと、明治期の一人の画家で終わっていたのかな。
 夭折した作家全般に言えることだけど、「もし」はないんだろうな、そこで終わってしまっているからいいのだろう。佐伯祐三も長生きしたら荻須高徳みたいにただの絵葉書みたいなのになっていたのかもしれない。
 中年真っ盛りの僕ですが、周りに自害した作家が二人、病で志し半ばで消え去られた人が三人いますが、ちょっぴり夭折した作家たちに嫉妬しながら、まだまだこれからだと思い、これ以上のものは造れないという高みに行きたいものです。生きていて、またものを造っていて最高の瞬間と絶望の瞬間が交互と無く訪れるでしょうが「ふふ~ん、羨ましいだろう」なんてのんきな事を言える瞬間を目指してがんばっていきたいものです。


 あるだろうと思っていた…

 「海の幸」Tシャツ、いらねw

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2011年7月6日水曜日

小林良一さん

 昨日小林良一さんから展覧会のダイレクトメールを送って頂きました。

 大学の先輩で(僕が入学したときは既に卒業されていましたが)、アルバイト先で親切にして頂いたのがお付き合いの始まりです。
 作品はカラーフィールドペインティングというのでしょうか、150号くらいの大画面で彩度の高い色彩の地と図の複雑な形態が入り混じり、単調に見えながら決してそうならないような筆もしくはペインティングナイフの使われ方、マチエールなどがまた小林さんのお人柄とは違い、大画面に包まれると言うよりは逆で、突き放されていくと言うような印象の作品を造られていましたが、今回頂いたダイレクトメールの作品は中間色と線(これも色面というのでしょうか)が出てきてちょっとイメージを膨らませる絵に進化されたみたいですね。
 多分渋い声で首に巻いたタオルで汗を拭きながら「違うんだよ、フフフ…」なんて言われそうですがw
 大学校外で最初にお話させて頂いた作家さんが小林さんだったと思います。
 お酒を飲むと真剣に絵の話や現代美術(当時僕も目指していましたからねぇ…)を熱く語ったかと思うと、○○な話に大脱線して馬鹿笑いしたり…。
 今でも八王子美術のバックヤードで「早く終わらせてアトリエに行きたいんだ」オーラを出しながら版画の額をカットしてる姿と、アトリエにお邪魔した時の真剣な表情が忘れる事が出来ません。
 そういえば小林さんの作品、東京国立近代美術館であった「現代美術への視点-絵画、唯一なるもの展」にて数枚そこへ作品が所蔵されましたよね。今も常設で展示されてるのかな?その時の梱包が凄いんだよって自慢されていましたねw
 お勧めの作家さんです。ぜひとも行かれた方はご感想を僕にもお教え下さい(時間とお金無くていけません、スミマセン小林さん)。

会場:hino gallery
会期:2011年7月11日(月)~7月30日(土)
時間:11:00~19:00(日・祝休廊)土曜日は17:00まで開廊
東京都中央区入船2-4-3マスダビル1F


 小林さんも好きだなぁw

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2011年7月4日月曜日

諏訪敦さん

 昨夜の日曜美術館記憶に辿りつく絵画~亡き人を描く画家~を観られた方はいらっしゃいますか?先週の再放送でしたが(先週録画するのを忘れてた)画家諏訪敦さんの特集でした。

 一見「写真みたい」な作品ですが、写実絵画にコンセプトを持ち込んで現代美術に挑発的に切り込みを入れる尖った作品です。対象をただ表面的になぞるだけでなく、その対象の世界観を「対話」という観察方法で画面に取り入れる、ある意味恐ろしい作品ですね。
 今回はそのように対象の内面を取り入れる事の出来ないモチーフ、「故人」をモチーフに作品に挑まれると言う話でした。
 普通ならば、生前の写真だけを基にしてフォトショップなんかで加工して「こんなもんか」みたいな作品と呼べる代物じゃないものになっていたでしょうが、放送での諏訪さんの存在はシャーマンでしたね。テレビ画面を通じて映し出された作品画面に故人、そして再生を望まれたご両親達の想いが表現されていました。
 またそこへ到る過程が素晴らしい、というか表現もしくは再生の為にここまでするのかというおびただしい取材。観ていて涙がでてきましたね。あれだけの労力がありあのような作品群があるのかと、またこのような陳腐な言葉しか出てきませんが、素晴らしいとしか言いようのない作品が造り出されるのか、と。

 この放送を通じて一つ私にヒントを与えて頂けました。私事ですが昨年妻を亡くし未だ途方に暮れている状態だったのですが、亡妻との会話方法を。
 一応美術大学の絵画専攻出身なので普通の人よりはほんの少し絵心はあるつもりですが、しかし亡妻を生前に描きかけて放置したままの絵があり、画面を観る度に無力感に陥るばかりでしたが方向が見えてきました。

 僕にも取材方法がいくらでもあるという事を、そして再生させる事ができると言う希望を。そこへ到るにはまだまだ時間が掛かるでしょうし、僕自身の造りたい物も沢山あります。一生かけて亡妻と対話し、そして再び逢える日を期待しながら一筆、一彫りを大事にしていきたいと思います。


 諏訪さんの作品集です、アマゾンでは一時期10万円の高値が付いていましたが今でも2万5千円の高値が付いていますね。買っててよかったw

 サイン本ですw

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