2012年2月6日月曜日

ワシントン条約をちょっとだけ真剣に考えてみる

 先日紆余曲折の末、やっとギターが手許へ届きました。
 ニューヨークを三ヶ所ほどウロウロした後、ケンタッキー州、アラスカ州(荷物追跡でここに行ってる時はどこまでたらい回しされるんだと思いましたが)、そして関空・・・2012/01/29 12:20 空港到着時刻 空港上屋スキャン(輸入)(ここいらへんはちょっとドキドキw)、仕向国センタースキャン(開封するなよw)、通関業者により登録されました(何とか突破か!)、2012/01/30 9:29 配達済み・・・
 
 さて無事に我が家へ到着するまでには色々と問題が浮上してきました。前にも書いたとおり、ネックにはローズウッドを使用していて、それはワシントン条約で指定されていて輸出入が制限されているんですよね。輸出国の輸出許可書が必要だ、なんて言われても個人のオークションe-bayですからそんな物あるわけないでしょう。ましてや made in japan の製品なのに。
 次にメーカーに、これはローズウッドと銘打っているがそれの近縁種だって証明書を出してくれ!何回電話連絡したことでしょうか。メーカーパンフッレットなどで書き切っている以上これはなんちゃってローズウッドですよなんて言えない。
 これはe-bayの日本語訳サイト『sekaomon』でのやりとりで、輸出許可書がないと輸出することが出来ないと日本へ送れないの一点張り。これは正しい姿なので、逆に褒められる行為ですよね。遵法は大事な事だ。
 昨年末は高くついたけどいい勉強になったかと、半ば諦めていたのですが、最後の手段、個人輸入に頼るしかない! そういうわけで最初に書いたようにギターはひと月近くアメリカを旅していたんですね。
 アメリカ留学をしていたギターは何事もなかったようにいい音色を奏でています。

 さて根付においてもワシントン条約は重要な問題です。象牙が一番顕著な例ですよね。まぁぼくは彫ってみたいなぁとは思いますが、黄楊の魅力は捨てがたく、まずは象牙を入手しないといけないので、しばらくは手を出す事はないと思いますが。
 wikiで『象牙』をみていると。2008年にはCITESによって許可された象牙競売に日本と中国が買い漁ったとあります。どこに流れていったんだろうな、象牙一本丸ごと使った彫刻なんてニーズもないだろうに。チャイナ根付だと嫌だな。正しく必要とし使われる所に流れて行くといいんだけどな。
 そして僕も黄楊だからと安心していてはいけません。眼の象嵌に『鼈甲』がいるんですよね。
 鼈甲は比較的安価で江戸時代のかんざしが某オークションで入手できますが、『業者は条約の履行を確実なものとするため、原材料のストック量を経済産業省へ報告することが義務づけられている。』・・・僕も業者になるんですかね(まだ売った・・・売れるの作ったことないけどw)。
 この条約に縛られて使用する材料が安物のプラスティックになっては本末転倒です。その時が来たらやれるだけの事をして、もっと勉強すべきだと思います。
 朝熊黄楊もある意味そうなりつつありますね。師匠は100万単位で原木を買ったと仰っていましたがwぼくは師匠から譲っていただいた朝熊黄楊はもっと技術が上達してから使おうと心に決めましたので師匠が譲ってくれるときは万札用意して授業に参加したいですね。

 昨日、愚息が短歌で県の教育長賞を受賞したので授賞式に参加してきました。見た目は僕のDNAを受け継いでいるのですが、中身は嫁さん似なのかなw

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2 件のコメント:

楽虫 さんのコメント...

ひとつ補足しておきたいのですが、2008年の象牙は、長年の番号管理と地道な努力によって信用を積み重ねてきた日本にのみ、売られるはずだったものです。それを直前で何もしていない中国が「うちらにも売ってくれ」と横槍を入れてきたのです。本来なら、許されるはずはないのですが、何故か「競売方式」になった。しょせんCITESもいろんな事情で動いてしまう団体だったわけで、非常にガッカリしました。しかも中国はその前年だったかに密漁や不透明すぎる流通の疑いで「中国はダメ」と判定が下っていたのですね。その舌の根も乾かぬうちに何故か日本が取引するついでに割り込んできて、何故か競売でOKになったわけです。そういうのは、もちろんどうしようもないチャイナ根付や置物にもなります。お金と勢いのある国だから、仕方がない部分もあるのでしょうが、日本の象牙関係者は憤慨してるんじゃないですかね。あと、「買い漁って」などいません。あれは輸出国からの要請も強くある売買で、それを買えるようにするために日本がした地道な努力を考えると、漁ったというのはちょっと違うような気がします。まあ、私の印象ですけども。

光紀/KOUKI さんのコメント...

こんにちは。
 そうでしたか、地道で堅実、実績ある日本の実情を知らずにうかつに「買い漁る」なんて軽々しい言葉をかいてしまい申し訳ありませんでした。
 なかなか中国バブルはじける寸前と言われていますがなかなかしぶといですね。
 現代美術でも自国の作品(何だかなぁというようなレベル)には億単位の金をつぎ込んでレコード更新をしています。
・・・世の中「金」中心でまわっていますからねぇ。
 楽虫さんもツイッターでつぶやかれていたヤフオクの象牙の高騰、あれも華僑が絡んでいたりするんですかね。それともバカ根付作る業者が日本にもあるのでしょうか。嘆かわしい事です。
 京都の清宗根付館に行くと二階に見事に磨き上げた象牙が飾られています。これ飾るくらいなら象牙の根付職人さんにお分けになられた方がよっぽど価値があるのになぁと行くたびに考えてしまいます。
 日本では高円宮様がお隠れになられてしまい、こういう外交で強気発言できるお方がいなくなってしまったと思うと悔しくてなりません。
 根付の闇の部分もなかなか奥が深いですね。一度勉強会に参加させてもらい、薄っぺらい僕の頭をぶん殴ってくださいw

・・・余談ですが、佐伯祐三の奥さんの実家が銀座で「池田象牙店」という店舗を開いていたそうで、関東大震災で蔵数件分の象牙が真っ白な灰になってしまったそうです。もったいない。